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【第8回】国土交通省(土砂災害警戒避難事例集―土砂災害警戒避難ガイドライン(H19.4)に沿った取組みのポイント)

2010.07.05

土砂災害による被害を最小限に抑え貴い命を守る実践的な事例集が完成!

今年(平成21年)の7 月に、集中豪雨に見舞われた影響で土石流が発生し、山口県防府市の特別養護老人ホームでは約100人の入所者のうち3 人が死亡し、4人が行方不明になるという痛ましい出来事がありました。

こうした被害をなくしていくためには、住民と行政が土砂災害の特徴を理解したうえで各々が担うべき役割について共通の認識を持ち、土砂災害に対する警戒避難体制を構築することが必要です。とはいうものの、万全な警戒避難体制を整えきれていないのが地方公共団体の実情かもしれません。

こうした中で、国土交通省は、平成21年9月7日に「土砂災害警戒避難事例集―土砂災害警戒避難ガイドライン(H19.4)に沿った取組みのポイント」を発表しました。

平成13年に「土砂災害防止法」が制定され、土砂災害が発生する恐れがある区域に関しては、警戒避難体制の整備を図ることが義務化されました。さらに19年には防止法の考え方をわかりやすく解説した「土砂災害警戒避難ガイドライン」が作成されました。

同省河川局砂防部砂防計画課の中村圭吾さんによると、ガイドライン策定後、全国の市町村からこのガイドラインに基づく取り組み事例や取り組みのポイントなどを紹介してほしい、という数多くの要望が寄せられました。これに応えるかたちで、同省はとくに市町村を対象に事例を収集し、資料集を作成しました。

中村さんは「整備目標を達成するための"取組みのポイント"をまとめるに当たって、課題ごとに何をリストアップすればいいのかが大変でした」と話します。リストアップした項目以外に漏れがないか都道府県へ確認を取るなど、同省からの一方的な情報ではなく、現場担当者でなければ気づかないような問題点をフィードバックしてもらいながら、新たに重要なポイントを追加していったとのことです。こうした手間をかけることで、完成までに約一年半を費やしたといいます。

中村さんは「土砂災害はどこでも起こり得る可能性が高いのにもかかわらず、どの市町村も警戒避難体制の整備が遅れています。土砂災害は警戒避難のポイントさえ押さえておけば、発生しても比較的人命を救うことができる災害です。そういう意味でも、この事例集を参考にしていただき、体制を整えていただければと思います」と話しています。

土砂災害の警戒避難体制の整備が遅れている地方自治体はもちろん、整備済みのところも、この事例集を参考にして、より良い体制づくりに取り組んでください。

土砂災害警戒避難事例集―土砂災害警戒避難ガイドライン(H19.4)に沿った取組みのポイント

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1.
「情報の収集・伝達」「避難勧告等の発令」「避難所の開設・運営」など、警戒避難ガイドラインの章立てに沿って整理されています。

2.
事例の収集方法は、近年土砂災害が多発している市町村や先進的な取り組みを行っているという話を耳にしたところに当たりをつけ、都道府県を通じて当該市町村に問い合わせて依頼したとのことです。

3.4.
「○○したい!」という見出しを設けて、各市町村で取り組みたい課題と見出しが対応するかたちで構成されています。また、自治体名を明記し、自治体同士で直接情報交換ができるような配慮がなされています。

国土交通省河川局(土砂災害警戒避難・土砂災害ハザードマップ)

※本稿はbside2009年10月号[Vol.08]に掲載したコラムを再掲載しています。