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【第3回】気象庁(竜巻注意情報担当)

2010.07.05

フォアキャストとナウキャストを併用し、段階的に災害を監視する新しい観測スタイル

新しい防災気象情報を解説する気象庁のパンフレット類"
新しい防災気象情報を解説する気象庁のパンフレット類

10数年前、気象レーダーがデジタル化されて以降、風水害に関する観測技術は目覚しく発展を遂げました。以前は、予報官の知識や経験による部分が多かったのに比べ、現在は多面的かつスピーディに自然の変化を捉えることができるようになりました。その結果、明日、あさってという日単位での予報技術が向上するとともに、10分間隔で1時間先までの雨量予測等が可能になりました。最近よく言われるフォアキャスト(予報)とナウキャスト(最新情報と直近の予測)です。

今年(2008年)3 月にスタートした「竜巻注意情報」もフォアキャストとナウキャストの技術が活かされているシステムです。

竜巻は近年、国内でも多発しています。「竜巻注意情報」が整備されるきっかけとなったのが2005 年に起きた羽越本線の列車脱線事故です。局所的な突風が原因とされるこの事故は5人もの死者を出しました。気象庁は、この事故を教訓に、2011 年の実用化を目標にした突風や竜巻に特化した情報システムの構築にとりかかりました。ところが、2006 年9月、宮崎県延岡市で死者3人を出す竜巻が発生。さらに同11月、北海道佐呂間町においても死者9人を出す国内で最大級の竜巻が発生します。気象庁は対策を加速化、目標より2年も短縮して「竜巻注意情報」の運用にこぎつけたのです。

「竜巻注意情報」等の登場によって、風水害に関する気象情報のカバー範囲は充実しました。フォアキャストからナウキャストまで、近未来から現在にかけて、段階的に竜巻を警戒することが可能になったのです。

もっとも「竜巻注意情報」にしても完璧ではなく、予想が外れることもあります。しかし、予報が的中したときには、必ず人の命を救えます。だからこそ普段から「竜巻注意情報」の正しい利用法を市民に伝えるという、防災行政担当者の啓発活動が重要になってくるのです。

防災行政メモ

気象庁とは?

気象情報を提供することによって、自然災害の軽減、国民生活の向上、交通安全の確保、産業の発展などを実現することを任務とする国土交通省の外局の一機関。

全国の気象・地震・火山などを観測して、その資料を収集・配布し、天気予報・気象警報を発表するなど、気象関係業務を担当する。1956 年に中央気象台を昇格・改組した。

防災に関しては「災害対策基本法」、「気象業務法」などに基づき、国の防災関係機関の一つとして、災害の防止・軽減、災害発生時の応急対策、二次災害発生の防止などに必要なさまざまな防災気象情報を、国・地方公共団体などの防災関係機関に提供する役割を担っている。

気象庁

※本稿はbside2008年7月号[Vol.03]に掲載したコラムを再掲載しています。