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【第14回】災害ボランティアの位置づけ

2011.08.02

東日本大震災でボランティア活動が遅れた理由

災害ボランティアのイメージ被災した市民生活の復旧に災害ボランティアによる支援が、防災関係者等から認識されたのは1995 年阪神・淡路大震災からである。発災後1か月間のボランティアの延べ人数は62万人、発災後13か月間となると約140万人に達し、救援活動や復旧活動の実績を国民が認めるところとなり、1月17日を「防災とボランティアの日」と閣議で制定したことからも理解される。

本年3月11日に発生した東日本大震災における活動を見ると、発災から約2週間の初動期は専門技術を持つ者のみが現地に入り、警察や自衛隊とともに捜索活動を行った。また、食料や防寒具を避難所に届ける活動もあったが、自動車用燃料の不足から待機状態が続いた。現地の活動に参加できない人は募金と物資の収集、仕分けなどの分野での活動が中心となった。1か月経過しガソリン不足が継続する状況下で、緊急自動車登録をしたボランティアが予備燃料を持参して被災地を訪れ、炊出し、物資運搬、泥だしなどの支援活動を始めた。避難所への支援を申し出たが、多くの避難所が避難者自身による運営を好んだことから、支援者が入ることが難しかったという。

地域差が出たボランティアの受け入れ態勢

被災地では激甚な状況であったため、支援を受け入れるための組織が立ち上がれない状態が2週間ほどあった。やがて、現地に災害ボランティアとNPO が協働する「支援NPO 連絡会」が石巻市を含め十数地域で立ち上がり、日を追うごとに各地に組織が作られていった。こうした活動を支援するため日本財団ROAD プロジェクト(東京)、静岡県ボランティア協会、被災地NGO 協働センター(神戸)の3者が協力して、「災害ボランティア支援センター」を岩手県遠野市に設置し、三陸沿岸の被災者を直接支援する「遠野被災地支援ボランティアネットワーク」を後方から支える新たな支援方法が注目されている。しかし、受け入れ態勢が無いところでは支援物資が届きにくい状態が続き、活動する場所や支援を求めている被災地からの具体的な要求と斡旋、そして支援する側とのマッチングが機能しない場合もあった。

大震災が残したボランティア活動の教訓

理想的には災害発生前の予防対策として、社会福祉協議会やボランティア協会、地域のボランティア団体が中心になって受け入れ組織を計画上で構築し、想定される内容のマニュアル化を図りたい。更に災害救援活動を実施するために必要となる経費を拠出できる基金が設立してあれば、災害発生時の受け入れ活動も気兼ねなく行われるであろう。

また、現地で中心になるボランティアを育成するため学生や一般社会人を対象に、災害ボランティア・コーディネーター育成講座を開催して人材を蓄えることも忘れてはならない。さらに日頃から有能で活動的なボランティアを発掘することは、地域の防災活動にも大きくプラスに影響する。

災害が発生するとメディアの扱いによって、全国から駆けつける支援者の量も変わる。組織化したボランティア団体であれば長期にわたり支援が期待できるが、寄り集まった個人からなる集団では運営も複雑になる恐れがある。都道府県と市町村との役割分担は異なっている。都道府県レベルでは災害ボランティア本部を立ち上げて、全国からの申出者の受け入れ窓口の開設と調整、申出者への最新情報の提供、都道府県災害対策本部からライフライン・公共交通機関の復旧や規制などの状況、行政施策の動向などの情報を入手してボランティア団体に提供する。市町村レベルではまず本部を設置し、管内の被害状況を上部組織へ報告、そして復旧に必要な事項を要請、住民からの要望に応じた支援の配分、ボランティア団体に必要な情報を提供するなどがある。

ボランティア活動を防災対策計画に位置づけるためには、地域防災計画の中で周辺対策と関連して述べることが求められる。平常時の活動関連は災害予防や平常時対策の編、災害発生時は災害応急対策編にまとめ、別に活動が期待される団体名を資料編に掲載する。

井野盛夫(いの・もりお)
富士常葉大学客員教授
1937年静岡市に生まれる。61年東京教育大学卒業後、静岡県職員に採用される。工業用水道課、水資源課、地震対策課長を経て92年より防災局長。96年より静岡県防災情報研究所長。2000年より富士常葉大学環境防災学部長、07年度退職。理学博士。
中央防災会議専門委員、地震調査研究推進本部専門委員、静岡県立大学客員教授、兵庫教育大学講師、静岡大学講師などを歴任。97年国土庁長官防災功績者表彰。
著書に『21世紀東海地震』(羽衣出版)『こうすれば東海地震はこわくない』『抗震.東海地震へのアプローチ』『抗震(改版)』(静岡新聞社)『今だから知りたい東海地震』(共著、静岡新聞社)『名水を科学する』(共著、技報堂)『地震予知がわかる本』(共著、オーム社)『地域防災計画の実務』(共著、鹿島出版)『東海地震いつ来るなぜ来るどう備える』(共著、清文社)など。

※本稿はbside2011年8月号[Vol.15]に掲載したコラムを再掲載しています。